【基本・応用】Microsoft Power Appsの使い方を紹介
業務アプリを使えば営業からマーケティングまで、さまざまな業務を効率化できます。
ローコードのツールなら簡単に導入でき、低費用の運用が可能です。
本記事では、Microsoft Power Appsの使い方を基本編と応用編に分けて解説します。
Microsoft Power Appsとは誰でも業務アプリ開発ができるローコードツール
Microsoft Power Appsとはローコードでアプリを開発できるツールです。
ローコードとは、コーディングを最小限に省略し、ドラッグアンドドロップで誰でも直感的な開発ができる様式です。
ローコード開発には以下のメリットがあります。
- 必要最低限のプログラミング知識で開発できる
- 短期間・低コストでシステム実装できる
- BIツールやExcelなどサービス連携が豊富である
- リソースとサポートが充実している
- データ活用・自動化を促進できる
Power Appsでは必要に応じて、以下の3種類のアプリ形式を構築できます。
- キャンバスアプリ:従業員が操作する業務アプリ
- モデル駆動型アプリ:管理職が情報管理するためのアプリ
- ウェブポータル:組織外のユーザーへ情報発信するアプリ
たとえば、Power Appsであれば技術開発者でなくても、現場で課題感を抱えているビジネスマンが直接アプリ作成に関われるため、社内外のニーズを反映させやすいといえるでしょう。
【基本編】Microsoft Power Appsを用いたアプリ開発の手順
Microsoft Power Appsでは簡単な操作で業務アプリが開発できます。
以下では、Microsoft Power Appsの基本的な使い方や操作手順を紹介します。
基本的な流れは通常のアプリ作成を変わりませんが、各工程で「いかに簡易にできるか」「現場の最前線にいるビジネスマンでもできるか」という観点で参考にしていただけますと幸いです。
① ライセンス・料金プランを決める
最初に、Power Appsを利用するには以下のライセンス購入が必要です。
- Office 365 E1以上
- Power Appsの料金プラン
- Dynamics 365
Power Appsが他のローコード開発と異なる点として、他のMicrosoftとの連携がスムーズになる点が挙げられます。
Power BIやSharePoint、Dynamics 365などのMicrosoft製品とシームレスに統合できるため、データ活用の観点でも工数を減らせるでしょう。
② 開発環境を準備する
ライセンス・料金プランが決まれば、開発環境を構築していきます。
Power AppsはWindowsOSやiOSなど、OSの種類にかかわらず利用できます。
また、GoogleドキュメントのようにWebブラウザでも利用可能です。
技術開発の領域において、環境構築は非常に骨の折れる作業です。
Power Appsを使用すると、これらの作業をカットできます。そのため、現場対応に忙しいビジネスマンの方や情報システム担当者でも、開発にかかわるハードルが下がるといえるでしょう。
③ 画面をカスタマイズする
準備段階を終えたら、Power Appsを用いてアプリの設計(画面のデザイン作成)に移ります。
Power Appsでは、一般的なビジネスマンが活用するようなスライド(Power Pointなど)の作成と同じ感覚でアプリを設計できます。
そのため、基本的な操作であればコーディングの知識がない現場のビジネスマンでも設計が可能です。
操作感覚の例については、以下の通りです。
- 画面タブの追加・削除・選択から使用する画面の枚数を調整できる
- テキストはドラッグで位置を操作できる
また、Power Appsが他のローコードと異なる点として、豊富なテンプレートからアプリのコンポーネントを選択できます。
Power Appsで見やすい画面をデザインし、自社独自の画面を整えましょう。
④ 任意の形式でアプリをカスタムする
画面のデザインをカスタマイズできたら、実際にアプリを作成していきましょう。
アプリ設計の際は、どのような業務アプリにするかを決めておくことが重要です。
Power Appsは前述の3タイプからアプリ形式を選べます。以下に再掲載いたします。
- キャンバスアプリ:従業員が操作する業務アプリ
- モデル駆動型アプリ:管理職が情報管理するためのアプリ
- ウェブポータル:組織外のユーザーへ情報発信するアプリ
たとえば、営業支援ならキャンバスアプリ、勤怠管理ならモデル駆動アプリ、アンケートフォームならウェブポータルが適切です。
また、Power Appsが他のローコードと異なる点として、開発者向けにもアプリを拡充できる機能があります。
たとえば、自社の技術者でない担当者が開発した後に、本格的なシステム稼働で開発技術者を入れたアプリ改修も可能です。
このように、自社の目的やタイミングにあわせて開発を進められる点は、Power Appsの大きな利点といえます。
【応用編】Microsoft Power Appsの具体的な使い方の例を6つ紹介
Power Appsの基本操作は比較的早い段階で慣れることでしょう。しかし、実際に仕事上で使ってみなければその便利さは分かりません。
ここでは、Power Appsの応用的な使い方として、どのように実務で活かされているのかを紹介します。
① 管理・予約などの業務プロセスを自動化
Power Appsで開発したアプリは、管理や予約業務のプロセス自動化に貢献します。
製造業の企業であれば、受発注の予約や制作タイムスケジュールが一元管理できるアプリを、Power Appsで作成・運用すると便利です。
また、社内向けにも、備品の貸出予約や会議時間の管理ができるアプリを作成できます。
こうした予約情報の管理がアプリでできるようになると、社外にいても仕事に関する予約をとれます。
業務アプリを導入するとリモートワークを実施している企業であれば特に作業効率が高まるでしょう。
まとめるとPower Appsは以下の点で、予約や情報管理ツールと親和性が高いといえるでしょう。
- 連携できるサービスが豊富にある
- 個々の社員が使用するツールにも簡単に反映できる
生産管理の担当者でも大規模開発の前段階としてアプリを作成できますし、開発技術者に依頼する際にも、作業の簡易化が見込めるといえます。
② コミュニケーションを効率化
Power Appsを用いれば、従業員同士のコミュニケーションを効率化できます。
たとえば、キャンバスアプリを活用すると、従業員同士が連絡を取り合うアプリの作成が可能です。
従業員のコミュニケーションツールとしては、SFAツール(営業支援システムツール)や連絡帳などが挙げられます。
「顧客ごとの担当者が誰なのか」を確認でき、進捗状況の確認も可能です。
また、営業成績やノルマの伸び率をアプリ内で確認できるため、情報の一元化ができるでしょう。
また、無理な仕事の割り振りが発生しにくくなり、情報共有が上手くできます。その結果、チームでの円滑なコミュニケーションを実現できます。
まとめるとPower Appsをコミュニケーションに活用するメリットは以下の通りです。
- 営業事務の省力化に貢献できる
- 些細な報連相をスリム化できる
特に、Power Appsの最大の特長である「操作の簡易さ」により、営業担当者でもアプリ作成をできるといえます。
③ 顧客との窓口を設置
Power Appsのアプリ作成でポータル形式を選択すれば、顧客との接点を設けられます。
特に、入力フォームやチャットボットでの問い合わせ窓口の作成がおすすめです。
顧客のニーズに合わせて柔軟にフォームを設置できる点は、導入しやすいPower Appsならではのメリットです。
セミナー後や満足度調査を実施する際に配布するアンケートの入力が電子化できれば、回答後そのまま顧客に送信してもらえます。
そのため、データをExcelへ入力する手間がカットされ、データの成形と分析に注力できます。その結果、マーケティング戦略の策定を効率化できるでしょう。
アプリ一つで手軽にデータの共有ができ、顧客の意見を取り入れやすくなるだけでなく、業務効率化にも寄与できるのです。
④ 勤怠管理のレビュー・計画管理
勤怠管理に関してもPower Appsで効率化できます。簡単な画面操作で始業・終業の報告ができ、勤怠情報の集計が可能です。
- 情報の一元化:管理職側も勤怠情報を確認しやすい
- レビュー機能:業務の指示や実績評価まで付けられる
- 社員ごとの目標や作業計画を提出できる機能:中長期的な計画管理ツールとして使用できる
その他、クラウド上で操作できるため、リモートワークを実施している企業でも、アプリ1つで勤務状況の報告ができます。
このようにPower Appsの活用で、PDCAの高速化やレビューを通したコミュニケーションで、上司と部下の関係構築に貢献するツールとしても利用できるのです。
⑤ 経理システムで原価・経費を管理
経理業務に代表されるバックオフィスの働き方改善にもPower Appsを活用できます。
経理システムをPower Appsで導入するとペーパーレスと業務効率化に貢献します。
たとえば、領収書管理アプリを作成すれば、経費の確認や集計に書類での処理作業を挟む必要がなくなります。
また、クラウドを通してリアルタイムで経費の確認が行えるため、正確な経費承認の可否が下せ、適切な原価管理につながります。
さらにPower Appsで経理システムをアプリで導入すると、スマートフォンやタブレットなどを用い、PCと合わせて2画面体制で会計数値を処理できます。
アプリを使用する側も領収書の写真をアップロードするだけで済み、簡単に経費申告が可能です。
⑥ 在庫管理を効率化
在庫の管理アプリもPower Appsで作成して業務を効率化できます。
管理番号やバーコード、商品名、在庫数を一覧表示でき、検索にも対応できるシンプルな管理アプリを導入可能です。
Power Appsを使用すると操作の簡易化でアプリの作成費を抑えられます。
そのため、商品の品目が変わりやすい業態の企業でもアプリ内容を作り直しやすく便利です。
また、アプリで導入することで、移動の片手間に在庫状況を確認でき、出張先に最新の在庫情報を伝えられます。
経営層やバックオフィスの従業員も在庫の回転率や流動性を数値で分析できるようになり、販売活動を円滑化できます。
現場で動く営業担当者だけでなく、内勤の従業員にとっても有効なアプリだといえるでしょう。
まとめ
Microsoft Power Appsの基本操作と実務での使い方を解説しました。
業務アプリの開発には本来大きな資源が必要です。
そこでたとえば、Power Appsを使用して自社での開発費用を削減するのはいかがでしょうか。
海外ではPower Appsが非常に注目されており、製薬会社や空港など大企業での活用も増えています。
また、本章では説明しきれませんでしたが、昨今のAI機能をPower Appsは兼ね備えています。Microsoftが提供しているAIソリューションサービス「Azure Cognitive Services」との連携により、シームレスな統合を実現します。
ご興味がございましたら、Sutrix Solutions Japanへご相談ください。弊社では大企業でのCMS導入支援や、Power Appsに代表されるローコード開発の導入相談を承っております。