顧客満足度を向上させる顧客データプラットフォーム(CDP)

 
Update: 2023.07.11 | Sutrix Solutions Japan
 

オンラインで買い物をするにあたって、購入までにどんなプロセスを想像するでしょうか。キーワードで商品を検索したり、様々なショップで価格を比較したりなど、顧客が購入を決定するまでのプロセスには、Webサイト、広告、メールマガジンなどといった、複数の顧客接点(タッチポイント)が存在します。企業は顧客データプラットフォーム(CDP)を利用することで、それぞれの顧客接点でニーズに合わせた個別化マーケティングを行うことができ、顧客満足度を向上させることができます。

この記事では、顧客データプラットフォーム(CDP)について詳しくご紹介します。

 

CDPとは?

顧客データプラットフォーム(CDP)とは、複数のツールからデータを結合し、製品やサービスとのあらゆる接点やインタラクションから顧客プロファイルを作成するテクノロジーソリューションです。オンライン、オフラインを問わず様々なチャネルから収集した顧客データをプロファイリングし、1つの統一された顧客データベースを作成する機能を提供します。このデータベースはほぼ無限に分割することができ、顧客ごとにパーソナライズされたマーケティングキャンペーンの作成に活用できます。

例えば、ある企業が顧客についてより深い理解を得ようとしているとします。企業のCDPはまず、Facebookや企業のWebサイト、メールなど、顧客が企業とのインタラクションを行う可能性のあるあらゆる接点からデータを収集します。その後、これらすべてのデータポイントを統一した顧客プロファイルとしてまとめ上げ、そのプロファイルを必要としている他のシステム(例:Facebook広告プラットフォーム)で使用できるようにします。

このプロセスにより、企業はセグメンテーションを活用して対象オーディエンスをよりよく理解し、従来以上にパーソナライズされたマーケティングキャンペーンを作成することができます。たとえば、特定のWebサイトを訪れた人や、企業のライブチャット機能を使用した人々を対象として広告オーディエンスを作成したり、カートを放棄したサイト訪問者のデータを迅速にセグメント化して表示したりすることが可能です。

 

CDPが収集するデータ

CDPを機能させるためには、顧客データが必要です。CDPは、ファーストパーティデータを取り込み、顧客データ統合と呼ばれる複数のデータベースからの情報と識別子を組み合わせるプロセスを通じて、収集したデータを顧客分析に有用な情報へと変換しています。

ファーストパーティデータとは、企業が顧客から直接収集し、その企業のマーケティングにのみ使用されるデータのことです。ファーストパーティデータはデータの収集方法や時期、場所、目的などを把握することができるため、正確性が高いことが特徴です。またそのため、顧客の同意を得て収集されたものであることがほとんどです。

一方、ファーストパーティデータとは異なり、サードパーティデータとは企業が購入、または他の事業者と共有するユーザーデータです。サードパーティデータは、主に広告の新たな潜在ユーザーをターゲットにするために使用され、新規訪問者向けのWebサイトのパーソナライズ、他の収益ストリームのないアプリの収益化などに活用されます。ただし、サードパーティデータはそのデータが同意を得て収集されたものかどうかを判断するのが難しいという点で、利用に注意が必要です。

 

CDPのメリット

 

1.より整理された顧客データ管理

 

CDPは、複数のデータソースから収集した顧客データを、1つの中央集権的なデータベースとして統合します。これにより、顧客のさまざまな接点やインタラクションに関するデータが一元化され、重複や不整合が減少します。企業は一貫性のあるデータを利用できることによって、顧客に関する包括的な情報を把握することができます。

また、CDPは統合された顧客データを柔軟にセグメント化する機能も提供しています。企業は顧客の属性や行動データに基づいて、特定の顧客セグメントを作成することができます。これにより、より精緻なマーケティングキャンペーンやパーソナライズドなコミュニケーションを実現します。

さらに、CDPは他のシステムやツールとの連携も容易です。統合された顧客データは、他のマーケティングプラットフォームや広告ネットワークと連携して活用することができます。これにより、顧客データをリアルタイムで活用し、ターゲティング、セグメンテーション、パーソナライズドなマーケティング施策の展開が可能となります。

このように、CDPの導入は顧客データの整理と管理を効率化し、効果的なマーケティング戦略の実現に大きく貢献します。顧客の行動やニーズに合わせた的確なアプローチを追求することで、顧客エンゲージメントの向上やビジネス成果の拡大につながるでしょう。

 

2.より洞察に富んだ顧客分析

 

統合されたデータは、包括的な顧客プロファイルを作成し、顧客行動のトレンドやパターンを洞察するための豊富な情報源となります。

CDPは、統合された顧客データを柔軟にセグメント化する機能を提供します。顧客属性や行動データに基づいて特定の顧客セグメントを作成し、顧客グループごとに異なる傾向やニーズを理解することで、マーケティング戦略やキャンペーンのカスタマイズを可能にします。これにより、より精緻なセグメンテーションによる効果的なターゲティングと個別化が実現します。

また、リアルタイムで顧客データを分析することも可能です。CDPではデータの収集と分析が同時に実行されるため、意思決定とアクションを迅速に行うことができます。さらに、リアルタイムの分析により、顧客の行動や傾向を即座に把握し、追加のパーソナライズやリアクティブなマーケティング施策を展開することができます。

CDPの導入により、企業はより洞察に富んだ顧客分析を実現し、戦略的なビジネス意思決定を支援します。こうした顧客行動の把握や嗜好の特定が、顧客エンゲージメントの向上や競争力の強化につながるでしょう。

 

3.データ保護とプライバシーの向上

 

CDPは、顧客データを一元管理するためのセキュアな環境を提供します。企業がデータセキュリティの基準を設定し、アクセス制御や暗号化などのセキュリティ対策を導入することで、顧客データが不正アクセスや漏洩から保護され、機密性が保持されます。

また、データプライバシーと関連する法的要件や規制に対応することができます。たとえば、CDPはGDPR(一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア消費者プライバシー法)などのプライバシー関連法に準拠するためのメカニズムを提供します。これにより、企業は法的なリスクを軽減し、信頼性と透明性を向上させることができます。

個々の顧客のデータプロファイルは、ユーザーの同意に基づいて収集されています。CDPは、データの取得と利用に関する透明性と、データ使用についての顧客の選択肢を確保します。これにより、企業は顧客の信頼を得ることができ、長期的な関係を構築する基盤を作り出すことができます。

 

最後に

正確なデータ収集と深い分析によって顧客に優れたパーソナライズを提供するCDPが、企業にとって強力な味方となることは疑いようもありません。

重要なのは、企業にとって適切なCDPを選定することです。自社の具体的な要件に合致し、類似のユースケースを持ち、自社の業界での経験があるCDPを導入することが、競争力向上への近道であることでしょう。

顧客体験を強化するソリューションの提供に実績があるSutrix Groupでは、御社に最適なCDPの選定から導入、活用までのご支援が可能です。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 

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