DX(デジタルトランスフォーメーション)になぜDevOpsが必要なのか?

 
Update: 2023.05.02 | Sutrix Solutions Japan
 

企業のデジタル化は喫緊の問題となっています。「Newgen|State of Digital Transformation Research」の調査によると、過去2年間に DXに向けた投資を始めた企業は全体の77%にも上ります。にもかかわらず、デジタル化が完了したのはそのうちの27%に過ぎませんでした。

企業がDXを実現するためには、レガシーツールの廃止や新しいテクノロジーの採用だけでは不十分です。組織の開発チームと運用チームを統合し、迅速かつスムーズなシステムデプロイメントを可能にすることが、デジタル変革の成功につながります。

この記事では、DX(デジタルトランスフォーメーション)においてDevOpsがなぜ必要なのか、その理由を解説します。

 

DevOpsとは

DevOpsは、開発(Development)と運用(Operations)を統合したシステム開発手法を指します。従来の手法では、開発と運用はそれぞれ別のチームとしてシステムに携わることが一般的でしたが、DevOpsはこの両者を一体化し、開発と運用を連携させることで、より効率的なシステム開発を可能にしています。具体的には、自動化や共有、コラボレーションを重視した開発から運用までのフルライフサイクルを通じて、システムの品質向上、ビジネスのアジャイル化、顧客体験の向上などに貢献します。DevOpsは、リソース、プロセス、ツール、テクノロジーを統合することにより、より迅速なシステム開発を実現するのです。

 

背景

DevOpsが登場した背景には、開発現場におけるチーム間の対立という問題があります。

システム開発と運用が別々の部門で行われる場合、システム開発者がシステムの動作環境を理解していないと、運用部門に問題が発生したときに適切なサポートを提供できず、システム全体のパフォーマンスが低下する恐れがありました。

DXの実現を目指す企業にとっては、新しいツールやテクノロジーを導入する以上に、部門間のコミュニケーションとコラボレーションを促進することが重要です。DevOpsでは、開発チームと運用チームの両方が「私たち」という集合体であることで、チームが問題に直面した際、責任追及に時間を費やすのではなく、再発防止策を立てるために協力して働くことができます。

また、チームワークを支援すると同時に、各々が自律的に行動できるようにもなります。例えば開発者は、コードを作成しテストを行うだけでなく、本番環境にデプロイし、より大きな責任を負うなど、チーム横断的なコラボレーションによって自律性が推進されます。チーム間の連携により、プロジェクトに関する情報も自由に共有されるため、エラーの減少も見込めます。このように、DevOpsは迅速で恒常的なデリバリーを実現するための主要な手法として、DXを後押しします。

 

DevOpsのメリット

DevOpsの導入は、開発プロセス全体にさまざまなメリットをもたらします。

① 高品質でスピーディーな開発

開発担当者と運用担当者が相互に協力して開発・テスト・運用を繰り返し、運用担当者のフィードバックを反映していくことにより、高品質でスピーディーな開発が可能になります。チームが互いに信頼し合い、共通の目標を共有することによって、スムーズに作業を進めることができるでしょう。

② 業務生産性の向上

DevOpsは、サービスをリリースするまでの期間が短いことで、フィードバックを早期に受け取り、バグや仕様のミスを修正することができます。開発担当者と運用担当者が連携し、効率的な情報共有をすることにより、無駄な作業の削減が可能になります。

③ 人的ミスの防止

プロセスやタスクを自動化し、連携ツールを使用することで、人的ミスを減らすことができます。自動化されたプロセスには、CI/CDパイプライン、テスト、デプロイ、構成管理、モニタリングなどが含まれます。また、開発と運用それぞれのチームメンバーが互いに協力してプロジェクトを管理することで、さらに人的ミスを防止することができます。

④ ランニングコストの削減

開発担当者と運用担当者が密に連携しているため、課題の早期発見がしやすい環境であることも、 DevOps のメリットのひとつです。修正や改善が遅くなるほど他の領域にも影響が広がってしまうため、早期の対応が結果的にコスト削減につながります。

 

DevOpsにもAIOpsが必要

DevOpsでは、エンドユーザーにいかに素早く製品やサービスを提供できるかが求められます。これを叶えるには、提供する製品やサービスを常に監視する必要があります。しかし、そのために複数の監視ツールを導入すると、かえってDevOpsチームを混乱させ、情報を提供し過ぎることもありえます。

こうした問題に対処するため、テクノロジー運用の分野では人工知能(AI)や機械学習(ML)を活用した技術(AIOps)が注目され始めています。AIOpsは、エラーや障害の原因を自動的に特定し、問題解決のための手順を表示します。また、異常なパフォーマンスに対して警告を行うことができ、システムの監視や診断にも役立ちます。加えて、AIOpsによって開発チームの生産性が向上することで、コストを削減することも可能です。

とはいえ、AIOpsの導入にはデータ品質の向上、適切なモデルの選択、データプライバシーの問題など、まだまだ多くの課題があげられます。AIOpsの導入を検討する際には、十分な計画と専門知識が必要です。

 

最後に

DevOpsの導入は、製品やサービスの素早い展開を可能にし、高品質で安定したサービス提供を実現します。これにより、企業は優れたUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供することができ、ビジネス成果に直結する優位性を手に入れることができるでしょう。

また、DevOpsは従来のシステム運用に比べて多数の工程が自動化されており、人的な繰り返し作業を大幅に削減することができます。

長年にわたって多くの企業にDXソリューションを提供してきたSutrix Groupでは、システム保守だけでなく顧客の満足度向上や貴社サービス価値向上にむけた機能拡張や分析、改善提案を実施いたします。

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