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2022年10月19日(水)開催 テクノロジー最前線②: ECプラットフォームのテクノロジートレンド
2022/10/19 (水)16:00より、Sutrix Solutions Japan主催Webセミナー「テクノロジー最前線②: ECプラットフォームのテクノロジートレンド」をSutrix Solutions Japan合同会社マーケティング/ビジネスデベロップメントディレクターの岡田をスピーカーとして開催いたしました。
概要
今回のWebセミナーは、Eコマース(以下、EC)市場の状況、デジタル時代の生活者の価値観や消費行動の変化、テクノロジーの状況、企業のECプラットフォームに関する3つの課題、からECテクノロジーの今後のトレンドを見据えたときに注目すべきテクノロジーが何かを考察し、解説いたしました。
まず、日本におけるEC市場の拡大と傾向、またデジタル時代の顧客、テクノロジーの状況について解説いたしました。
デジタル化が進んだ現代において、生活者の価値観は商品の安さから購入する際の利便性を重視する傾向が高くなってきている、且つ自分の気に入ったものには多少高くても対価を払うという志向に変わってきています。特にリサーチ会社大手のForrester社が定義しているデジタル時代のユーザーの特徴は、様々なサービスに触れ、使いながらその良し悪しを判断するとともに、その判断基準でその他の企業のサービスも比較します。新しい商品やサービスを受け入れる受容度が高くなった一方で、古いサービスや使いにくい、自分の好みではないと思われるサービスに関しては、どんどんサービスへ置き換えます。サービスから得られるエクスペリエンスが使い続ける上で重視されます。デジタル時代の企業は、常に競合や他サービスと比較されてしまうため、革新を続けていく必要があります。
こういったデジタル時代のもう一つの側面としては、テクノロジーが世界的にすごい勢いで増え続けている点にあります。
標準的に幅広い範囲に対応できるものから、より特定の分野や業界のニーズに対して適用できるテクノロジーが増えてきています。これもいろいろな分野や業界でデジタルが浸透してきた事の現れではありますが、テクノロジーの進化に後れをとってしまい、ビジネスに必要な機能が不足していることに気付いたものの、迅速に取り込めず機会損失に繋がってしまっているケースが多く見受けられます。
課題
現在の企業におけるECプラットフォームのよくある課題を三つ挙げました。
一つ目は、全てがIT管理でERP(Enterprise Resource Planning・企業資源計画の略)等のシステムとECが密結合になっているため変更や改修ができない、もしくは時間がかかってしまう、二つ目はオールインワンECプラットフォームによる機能の制限や改修のしにくさ、三つ目はあるベンダーのテクノロジーのみで構成されてしまっているベンダーロックイン。 このようなケースにあてはまる場合はECプラットフォームが古いままから変えられずECビジネスにリスクを抱えている状態にあると言えます。
こういった課題に対応して、ECテクノロジートレンドの中から、柔軟性を持ち必要なテクノロジーを自社に取り込め、顧客体験を向上させていく事ができるECプラットフォームとはどのようなものかについて紹介いたしました。
ECプラットフォームのテクノロジートレンド:コンポーザブルコマース
リサーチ会社大手のGartner社が発表している「2022年デジタルコマースのハイプサイクル」を見ると、テクノロジーの登場から期待値の高まり、衰退/改善されて安定的に活用される、という流れの移り変わりの予測をする事が出来ますが、ECビジネスの成長に向けたテクノロジー活用のヒントがこのハイプサイクルにあります。
Sutrixが注目しているのは、「Composable Commerce(以下、コンポーザブルコマース)」です。ちょうど黎明期を過ぎて、期待のピークに差し掛かかっているテクノロジーですが、グローバルではすでに活用が進んでおり成果が出ている企業も増えています。今後日本においても採用が進むテクノロジーと考えています。
① コンポーザブルコマースとは?
コンポーザブルコマースとは何かはこちらを参照
https://sutrixsolutions.co.jp/contents/what_is_composable_commerce.html
「コンポーザブル(composable)」とは、「構成可能な」と言う意味で、各分野でそれぞれ最適なテクノロジーを選定し、組み合わせる事によってビジネスニーズに合わせたECプラットフォームを構築する事がコンポーザブルコマースです。つまり既製品のEC機能に無理やりはめ込もうとするのではなく、MACHというモダンアーキテクチャ、そしてオープンエコシステムを活用し、変化する市場に迅速に対応していくビジネス志向なアプローチの事です。
コンポーザブルコマースにすると、ひとつのECプラットフォームを様々なベンダーのテクノロジーを組み合わせて構成するという事になり、それぞれ必要な機能を持ち自社に適切なものを選んで組み合わせる、また、もし適切ではなくなったものは他のものに部分的に変更することができる、という恩恵が受けられるようになります。
モノリシックECプラットフォーム(一枚岩で動かせないECプラットフォームの事)ですと、何かを変えなければならないときには全てを変えざるを得ず、コストや工期、手間もかかるため躊躇してしまいます。様々なベンダーのテクノロジーを柔軟に組み合わせて構成できるコンポーザブル(構造の変更が可能な)コマースであれば、ある部分だけを変える事ができるため、躊躇せずに行動に移す事ができます。
実際に導入した企業への調査を見ると、グローバルではすでに認知され、評価されているテクノロジーであり、調査対象企業の半数がすでに利用しているというデータがあります。その成果として3年後に総所有コストの削減が出来ると見込まれています。また実際に迅速な機能拡張ができるようになっている、これがコンポーザブルコマースの実態となります。
② コンポーザブルコマースの仕組み
続いて、コンポーザブルコマースの仕組みについて説明いたしました。
コンポーザブルコマースは、MACHというアーキテクチャで成り立ちます。アーキテクチャのMACHは以下のキーワードの頭文字を利用したものとなっています。
・Microservice (マイクロサービス)
・API-First (API ファースト)
・Cloud(クラウド)
・Headless (ヘッドレス)
コンポーザブルコマースを実現するためには、この4つのMACHをどのようにプラットフォームとして構成していくかが非常に重要となります。その中で比較的考え方として重要なものはAPI-Firstとヘッドレスです。
クラウド上の様々なテクノロジーをAPIで連携させることによって、プラットフォーム全体のスケーラビリティが高まり、柔軟性のある仕組みになります。またこれに合わせてヘッドレスアーキテクチャーによって、システム側の処理に依存したり、密な連携にならず、UIやUXのところを最適化でき、迅速に良い顧客体験の提供ができるという事になります。
API – First / ヘッドレスでは、各チャネルに必要なデータを柔軟に取り出せる仕組みを提供し、必要なデータを元にどのような体験(表現)を提供するかは各チャネル側が決める、すなわち、データを提供する方法がAPIで、取るほうがどのように表現するかを決めるという事がヘッドレスです。データを提供する側と体験を提供する側の双方が分離されるため、チャネルが増えた場合に対応する労力とメンテナンス性を格段に向上する事ができます。
続いて、コンポーザブルコマースの優位性を7点挙げました。どのような業種や業態、BtoC/BtoB/CtoCでも当てはまる優位性ですので、コンポーザブルコマースはどのようなものでも有効と言えます。
③ 今後の発展
コンポーザブルコマースの拡張は無限大です。BtoCだけではなく、BtoB等も考えると様々なテクノロジーを組み合わせる事ができます。例えば、コンポーザブルコマースにより店舗のテクノロジーと繋がると、デジタルとリアルを有機的につなぐことも可能になります。そしてテクノロジー側もコンポーザブル対応できるソリューションがどんどん出てくるので、選択肢も増えていきます。
最後に
最後に、コンポーザブルコマースを実現するために必要なケイパビリティについて解説を行い、本セミナーを締めさせていただきました。
コンポーザブル化されれば、テクノロジーの追加や変更ができるようになりますので、今後どのようなものをいつから使っていくかのテクノロジーポートフォリオが非常に重要になります。
コンポーザブルコマースを実現するには、DX実現に向けた構想力と、それぞれのテクノロジーを組み合わせる技術力、個々のテクノロジーの習得力が必要になりますが、こちらは当社のケイパビリティにも書かせていただいている、当社の強みです。
グローバルに拠点を展開する当社のノウハウを余すことなくご紹介できるよう「テクノロジー最前線」シリーズを継続して展開していきたいと考えております。
是非、ご期待ください。
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