2023/01/11(水)14:00より、w2ソリューション社、MIL社、コンシェルジュ社との4社共催セミナー「顧客ロイヤリティの向上とは?顧客との双方向のコミュニケーション事例」を開催いたしました。
Sutrixが顧客ロイヤリティの向上につながる「Eコマース(下記「EC」)における顧客体験提供とはどのようなことか」をテーマにし、EC市場状況やEC事業者の悩みと進んでいくべき方向性、事例などを解説いたしました。
EC市場状況とEC事業者の悩み
経済産業省が公表した「令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書」により、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行によりデジタル分野の市場規模が伸び、2021年とおそらく2022年も同様に増加傾向であることがわかります。
日本におけるECサイト通販の売上高ランキングを見ると1位は2位と一桁差をつけて「アマゾン」となっています。アマゾンで購入するということに対して、必要なものを簡単に見つけて買うことができますが、メーカーが提供していきたい顧客体験という観点では決して満足とは言えません。
アマゾンは我々生活者にとってもEC事業者にとっても大事なチャネルではありますが、どのように自社ECで買っていただくかはEC事業者にとって課題になっています。この課題に対して重要なキーは顧客体験の提供・向上であると思っています。
EC事業者の進んでいくべき方向性: 顧客体験の提供/ 向上
EC事業者は、顧客に自社商品を買っていただくことをゴールに、ECサイトに商品を並べて販売し、売り場としてECを提供しながらキャンペーンやプロモーションなどを行い、お得な価格での提供に留まっているケースが多いですが、製品を顧客に届けて終わることではなく、顧客体験を提供し続けていく必要があります。
顧客体験を提供し続けることは、ブランドや製品と顧客の関係性を考えて、その中で体験をどう組み込むか、また、優れたユーザビリティの提供も大事な体験です。
また、顧客のインサイトや生活スタイルに応じて、サポートしていくことを考えると、顧客中心の考え方になり、売り場ではなく、買い場という考え方になっていきます。買い場の中で、新たな気づきや、驚きも提供していきながら、購入後も長い関係性を継続し、ロイヤリティを高める事がゴールとなっていきます。
体験は「機会損失を防ぐ体験」と「機会を創出する体験」の2つタイプがあります。
機会損失を防ぐために、導線の再設計、顧客が欲しいと思う情報の提供、顧客がスムーズに手間なく購入までたどり着けるような取り組むが重要です。
一方、機会を創出する体験は、自社の価値をしっかり提供した上で、新たな出会いや一目惚れを創出し、楽しい買い物体験を提供することです。顧客の期待値を超えるため、興味を喚起しながらその商品に関連する知識を提供し、昨今のテクノロジー進化に合わせたデジタル体験を提供していきます。
少し違う観点から見ると、「Automatic Tasks(顧客が自動的に行うこと)」と「Reflective Taks(顧客が考えながら行うこと)」の2つあり、顧客が自分のゴールを目指しながら自動的に購入を行っていること、すなわち顧客は自分が欲しいものを感情的な中立性を保ったまま購入を行います。この場合は顧客が購入するまでに面倒な操作なくスムーズに行うことが非常に重要な観点となります。
一方、「Reflective Taks」は顧客が考えながら買うという購入行為です。この行為は非常に複雑な要因があり、主観的な判断に基づきながらも購入元との協同もあり、多くの思考を必要とするものです。
顧客体験を向上させていくためには顧客が自動的に行うことから、顧客が考えながら行うことに変更させるというコースチェンジによって、顧客体験並びに顧客ロイヤリティーを上げていくことが可能です。
ここからは、機会を創出する体験の事例をご紹介していきます。
機会を創出する体験の事例
Edward Jonesという保険会社の事例は、顧客がクイズに答えていく事によって、顧客にとってだんだんと優先順位が明らかになりながら目指す最終的なゴールがわかる、というものです。信頼も得られた上で顧客の明確な意志のもと契約していくことを目指しているようです。
Allbirdsは、サスティナビリティで環境問題に対してどう取り組んでいくのかを非常にわかりやすいコンテンツを提供し、その取り組みに共感していただき、Allbirdsで靴を購入することの意味を考えさせています。
酒造である鍋屋源五右衛門のWebサイトを見ると、店舗から酒蔵をバーチャル空間VRを利用し見ることが出来ます。デジタルコンテンツを通じて酒蔵の工程を知ってもらう事によって知識を高めて貰い、選ばれる存在になる、という事を展開している事例だと思います。
テクノロジーによる実現できる顧客体験が進化した昨今、ナイキの「NIKE by YOU」やカシオ計算機の「MY G-SHOCK」は、顧客に自分の好きなようにデザインをカスタマイズしてもらい、買い物の「ワクワク感」を創出する事とにより、自社ECでの購入促進と価値提供を実現しています。
最後に
このような事例は、デジタルコンテンツを通じて、顧客がただ買うという自動的なタスクから、顧客自らが考えながら買う行動を行うタスクにチェンジすることによって、自社のサービスや商品を支持して使っていただくという事になり、結果的にはアドボカシーの向上に繋がっています。
ガードナー社のレポートでも、実際にコースチェンジした顧客体験を提供していくことによってアドボカシーに影響を及ぼす、という結果が発表されています。
Sutrixでは、このような顧客の満足度向上やサービス価値向上に向けて、機能拡張や分析、改善活動を繰り返す「Commerce Service Ops」というサービスを提供しております。
活動はスクラム形式で2週間を1サイクルとし、EC機能を改善していく事により、顧客体験を向上を目指します。