2023年:カスタマーポータルの注目トレンド

 
Update: 2023.06.20 | Sutrix Solutions Japan
 

顧客と企業の重要な接点であるカスタマーポータルは、顧客体験の向上において重要な役割を果たしています。顧客が情報を入手してサポートを受けたり、関連するコンテンツにアクセスしたりするためのツールとして、カスタマーポータルは確固たる地位を築いています。

そもそもカスタマーポータルとは何か、という説明は、下記の記事でよりわかりやすく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

顧客体験の向上につながるカスタマーポータル

とはいえ、上記の記事で紹介しているのは、カスタマーポータルが可能にすることのほんの一部に過ぎません。現代の顧客の要求はますます高まっており、それを実現するために、カスタマーポータルの機能も日々進化しています。優れたカスタマーサポートを提供し続けるためには、他企業がどのような取り組みを行っているか、自社でも導入を検討すべきトレンドは何かを知ることが重要です。

この記事では、2023年に注目されるカスタマーポータルのトレンドについてご紹介します。

 

① 優れたパーソナライゼーション

過去10年間で、パーソナライゼーションはデジタル戦略の成功に不可欠な要素となりました。この領域の進歩は、カスタマーサポートの競争力を高める一方で、顧客の期待値の上昇をもたらす面も否めません。

「Gartner|How to Straddle Personalization and Privacy」 のレポートによると、 B2B顧客の86%は、自身の個人情報によって「パーソナライズされた体験を受けたい」と回答しています。つまり、企業は顧客の行動を把握するだけでなく、個人情報を一元化し、そのデータを活用して定期的にターゲットに合わせたコンテンツを更新しなければなりません。カスタマーポータルによってこのプロセスを自動化することで、常に顧客の期待に応え、それを上回るサービスを提供することが可能になります。

 

② より高度な分析とデータの活用

カスタマーポータルに従来の分析ツールを導入することで、顧客の行動、ページの人気度、コンテンツのパフォーマンスなどを追跡することができます。実際に下記のレポートでも、サービスおよびサポートのリーダーの84%は、顧客データと分析の活用を2023年の組織の最優先事項と位置づけていることがわかります。

参照:「Gartner | Gartner Survey Finds Customer Data and Analytics as Top Priority for Achieving Customer Service and Support Goals in 2023」

しかし、ポータルの真の力は、異なるデータソースへの接続能力にあります。カスタマーポータルは、複数のシステムからデータを自動的に取得し、1つの画面やダッシュボードに表示することができます。この機能は企業の新たなインサイトを引き出し、ビジネスの改善に役立てることができるでしょう。たとえば、顧客サポートチームは、CRM (顧客管理システム)と課題管理システムのデータを相互参照することで、サービスの解決時間が顧客の支出にどのような影響を与えるかを確認し、リスクの高い顧客を特定することができます。

カスタマーポータルの分析とデータの活用は、企業にとって重要な戦略となっています。また今後、カスタマーポータルの進化とともに、より高度な分析とデータ活用が求められることは間違いありません。

 

③ データプライバシーと保護への取り組み

データを利用することは、顧客が求める優れた体験を実現する一方で、顧客のプライバシーや情報を保護する責任も伴います。「Gartner | Global Software Trends and Buyer Behavior Insights 2022」 によると、84%の企業が新しいソリューションを選択する際、データプライバシーを最重要視すると回答しています。顧客と組織のデータを悪意ある侵入から守るために、カスタマーポータルも例外なく強力なセキュリティ機能を備えている必要があります。

また、データのプライバシーと保護に取り組むことは、顧客と信頼関係を築くための大切な要素となります。企業は、法的要件や規制に準拠し、データの保護を徹底することで安心感と安全性を提供することができ、顧客との良好な関係を長期的に続けることができるでしょう。

 

④ 迅速なサポート対応

「The Time To Win | The 2022 Consumer Patience Study」 によると、顧客はソリューション選択の際、セキュリティに次いで、価格と同じくらいスピードを重視していることが明らかになりました。顧客のおよそ3分の2が迅速な対応を求めているうえ、さらにそのうちの50%以上の顧客が、価格が高くても最初に対応してくれる企業に依頼すると回答しています。

顧客のサポート要求に素早く対応するための仕組みづくりは、現代のビジネスにおいて重要な課題です。ユーザーフレンドリーなインターフェースを持つカスタマーポータルを活用し、効率的なセルフサービスツールとして問題の自己解決を促すことで、顧客を強力に支援します。

 

⑤ 24時間365日利用可能

カスタマーポータルにおいて、効率性とアクセシビリティは密接に関連しています。顧客は、迅速な対応による素早い問題解決だけでなく、時間帯や場所に制約されずにサービスやサポートにアクセスできることを望んでいます。

カスタマーポータルは、24時間365日利用可能なプラットフォームとして、顧客に柔軟性と利便性を提供します。顧客は自身のスケジュールに合わせて好きな時間にポータルにアクセスでき、問題を解決したり情報を入手したりすることができます。

また、顧客にとっての利点に加え、カスタマーポータルは企業にとっても恩恵をもたらします。顧客の自己解決率が向上することは、カスタマーサポートチームの負荷軽減につながります。さらに、顧客がアクセスできる情報やサービスを増やすことで、顧客満足度とロイヤリティを向上し、競争力を高めることも可能です。

いつでも利用できるカスタマーポータルは、現代のビジネス環境にとって不可欠な存在です。企業はカスタマーポータルを導入し、顧客の期待に応えるサービスを提供することで、顧客満足度の向上と競争力の維持を実現することができるでしょう。

 

⑥ 革新的なAI技術

カスタマーサポートにおいて、人工知能(AI)や機械学習などの革新的なテクノロジーが、セルフサービスツールの可能性を大いに広げています。

その中でも、多くの企業が積極的に導入しているのがAIを搭載した最新のチャットボットです。チャットボットは、顧客の質問へのスピーディな対応に非常に効果的なツールです。顧客は質問がある時、気になることがある時にいつでもチャットボットと対話し、すぐにサポートを受けることができます。近年では、AI自然言語処理技術が発達したことで、対話の正確さや自然なコミュニケーション能力が飛躍的に向上しています。

また「McKinsey | The state of customer care in 2022」 のレポートによると、約65%のリーダーがチャットボットの導入後、通話量を大幅にできたと回答しています。重複する質問や基本的なサポートにチャットボットが対応することで、企業は人員の負荷を軽減し、効率的な業務運用の実現が可能になります。

このようにAI技術の導入は、企業にとって顧客体験の向上と効率的なサポート業務の展開につながる重要な戦略の一つとなるでしょう。

 

⑦ モバイル対応

デジタル技術の普及により、顧客は手軽にモバイルデバイスを利用して商品やサービスにアクセスすることが可能になりました。特にB2B市場においては、企業が製品やサービスに関する情報を提供し、顧客との対話や問題解決を行うためのモバイル対応のカスタマーサポートが不可欠となっています。「Webinarcare | Digital Customer Service Platforms Statistics 2023 - Everything You Need to Know」 によると、顧客の78%がモバイルデバイスを使用してブランドとの接触やサポートを行っています。つまり、カスタマーポータルがデスクトップとモバイルの両方で一貫した体験を提供できない場合、重要なインタラクションを逃すことになり、見込み客やロイヤル顧客を遠ざけてしまう恐れがあります。

モバイル対応のカスタマーサポートを提供することで、顧客はいつでもどこでも自分のモバイルデバイスからサポートを受けることが可能です。また、モバイルデバイスを使用してブランドとの接触ができることは、顧客にブランドとのつながりを感じさせ、信頼関係の醸成が期待できます。

 

⑧ シームレスなマルチチャネル体験

企業は現代の顧客に対して、ナビゲーションに苦労するような断片化したテクノロジーのパッチワークではなく、シームレスなマルチチャネル体験を提供する必要があります。

顧客エクスペリエンスは、企業の成功において非常に重要な要素です。顧客は現在、様々なチャネルを通じて企業との接触を行い、サービスやサポートを求めています。Webサイト、モバイルアプリ、電話、メール、SNSなど、顧客が利用するチャネルは多岐にわたります。顧客体験の向上のためには、企業はそれぞれのチャネルで異なる体験を提供するのではなく、一貫性のあるエクスペリエンスを提供しなくてはなりません。

マルチチャネルカスタマーエクスペリエンスの重要性は、顧客の時間と労力を節約することにあります。顧客はシームレスな移行を求めており、例えばウェブサイトで始まった問い合わせを電話で続けたり、メールでの問題解決後にチャットで追加のサポートを求めたりすることがあります。これらの遷移がスムーズで一貫していれば、顧客はストレスを感じることなく対応を受け続けることができ、ブランドに対する満足度や信頼度につながります。

 

最後に

総合的に見て、カスタマーポータルのトレンドはより良い顧客体験と効率化を追求する方向に進んでいます。企業は最新のテクノロジーやベストプラクティスを取り入れ、カスタマーポータルを戦略的に活用することで、顧客満足度を向上させ、競争力を維持することができるでしょう。

Sutrix は、ポータルの提供を行なっている各企業様からコンサルティング・開発パートナー認定を取得しております。ポータルサイト構築について、より効率的な運用のためのプランニング、システムインテグレーションのお手伝いは、ぜひ弊社にご相談ください。

 

 

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