顧客体験の向上につながるカスタマーポータル
顧客満足度は、健全なビジネスを維持するために欠かせない要素です。近年では、世界的なパンデミックや経済の不確実性などの混乱により、顧客はますますデジタルソリューションへの期待を高めています。このような需要の変化に対応するために、企業は適切なツールとプロセスを備え、エンドツーエンドでカスタマーエクスペリエンスをサポートする必要があることは疑いようもありません。
しかし多くの企業では、適切なツールが不足している、または一貫性のないツールを使用している現状が見受けられます。そんな中、カスタマーポータルを導入・活用することができれば、顧客と顧客対応チームの両方を強化する役割を果たしてくれるでしょう。
この記事では、顧客体験の向上につながるカスタマーポータルについてご紹介します。
カスタマーポータルとは?
カスタマーポータルは、顧客がアカウントを管理したり製品・サービスを利用するために必要なツールや情報に簡単にアクセスできる場所、つまり、顧客と企業のコミュニケーションを円滑にする場のことを指します。
カスタマーポータルは、以下のような方法で顧客体験を向上させるように設計されています。
- セルフサービス機能の提供
顧客は個人情報の更新、注文や返品の管理、サービス依頼のスケジュール設定など、課題の自己解決のために様々な機能を活用することができます。 - パーソナライズされたUI(ユーザーインターフェイス)
購入に関連するドキュメント、注文情報、お知らせなど、顧客が必要な情報に簡単にアクセスできるよう、個別にカスタマイズされた表示が提供されます。 - 迅速な情報アクセス
ナレッジベース、コミュニティフォーラム、検索結果リストなど、顧客が求めるコンテンツに迅速にアクセスできる仕組みが整えられています。
デジタルカスタマーエクスペリエンス戦略をサポートするカスタマーポータルの重要性
カスタマーポータルは、顧客が求める情報を見つけたり、エージェントの支援なしで問題を解決する手助けをしたりするだけでなく、スタッフがより重要な業務に集中できるようサポートする役割も果たします。
また、ポータル上で顧客の行動を追跡することで、顧客体験を長期的に改善することも可能です。たとえば、ポータルサイトのデータを活用して、顧客に自動で補完的な製品やサービスを推奨することや、顧客がサイト内を移動する際により適切なコンテンツを提供することができます。
カスタマーポータルを最大限効果的に活用するためには、社内チームと顧客の両方に、効率化に必要なツールや機能を提供する必要があります。
ただし、すべてのカスタマーポータルがその要件を満たして構築されているわけではありません。シームレスなデジタル体験を実現し、限られたリソースでより多くの顧客にサービスを提供するためには、以下の要素が重要です。
- 一元化されたシステム
アクセスしやすいセルフサービスプラットフォームを構築し、顧客が簡単に情報にアクセスできる環境を提供します。 - 公開ツールの提供
常に最新のコンテンツを確保するための公開ツールを提供します。 - 持続的な改善
改善を行うために時間をかけることができる仕組みを整えます。
顧客主導のエクスペリエンス:自分の体験をコントロール
顧客は、アカウント情報の更新や簡単な質問に対する回答を得るために、サポートからの返信を待つ必要はありません。オンラインのセルフサービスを通じて、必要な情報をいつでも見つけたり取引を行ったりすることができるからです。
以下のような充実したナレッジベースが提供されることで、顧客は簡単に答えを見つけることができます:
- スタッフは入社時・研修時の資料やよくある質問の閲覧、顧客は自身のアカウント情報の更新、請求書の支払い、サービスリクエストやクレームの提出などが可能です。また、機密性の高い契約書や明細書などの文書にもオンラインで安全にアクセスできます。
- ユーザーコミュニティフォーラムを通じて、顧客同士がお互いの質問に回答することもできます。顧客主導のエクスペリエンスを実現するために、顧客は自身の体験をコントロールし、必要な情報を容易に取得できる環境が提供されています。
カスタマーポータルによって、顧客は待ち時間や依存度の低減といった利益を享受しながら、自身のニーズに合わせた自己サービスを実現できます。企業は、顧客主導のアプローチを通じて、より優れた顧客体験を提供するためにカスタマーポータルを活用すべきです。
効率化された注文プロセスとリピーターの増加
商品のオプション、割引、注文方法などは、顧客によって大きく異なる場合があります。顧客一人ひとりの購買体験に合わせたサイトを提供することで、購買プロセスをシンプルにし、リピート購入を促進しましょう。
以下の方法を通じて、顧客が簡単に購入を決断できる環境を作り上げます:
- 顧客ごとに適切な商品、価格、注文方法のみを表示する。
- 過去の購入履歴や類似顧客、関連商品などに基づいたおすすめを提供し、追加購入を促す。
また、以下の機能を備えることで、注文と返品のプロセスを簡素化します。
- 自動承認ワークフローの導入
- 様々な支払い・注文方法のサポート
- 役割・アカウントベースの購入オプションの提供
効率的な注文プロセスは、顧客が迅速かつ円滑に商品を購入できるよう支援します。また、簡素化された返品プロセスは、顧客の満足度を高めます。これらの要素は顧客のロイヤルティを向上させ、リピーターの増加につながるでしょう。
顧客が迅速に必要な情報を見つけるための取り組み
顧客には、複雑なWebサイトを探索する時間がありません。したがって、デジタル体験をパーソナライズし、最適化することで、関連する情報を素早く見つけることができるようにする必要があります。また、顧客が求めている情報を見つけやすくするために、おすすめの提供も効果的です。
以下の手法によって、顧客が迅速に目的の情報にアクセスできる環境を整えます。
- セグメントを活用して、顧客の興味に合ったコンテンツを提供します。
- 顧客の好みに合わせた直感的なナビゲーションを導入し、関連するコンテンツへの迅速なアクセスをサポートします。
- より適切な検索結果を提供することで、顧客が求めている情報を素早く見つけられるようにします。
顧客向けポータルに必要な機能と性能
カスタマーポータルには、どのような機能と性能が求められるでしょうか。優れたカスタマーポータルの例は数多く存在しますが、ここではいくつかの必須機能を紹介します。
まず基本的なレベルでは、セルフサービスソリューションとして以下を提供する必要があります。
- 24時間365日のアクセス:
顧客がいつでもアクセスできるようにすることが重要です。 - 迅速な対応:
質問や問題に対して素早く対応する仕組みを整えましょう。 - 一貫性のあるチャネルとインタラクション:
顧客が異なるチャネルやインタラクションで一貫した体験を得られるようにします。
さらに、カスタマーポータルでは以下の機能を備える必要があります:
- システムの接続:
ポータルは異なるシステムを統合し、顧客が必要なコンテンツ、ツール、リソースにアクセスできるゲートウェイを提供することで、ブランドの一貫性を保つ必要があります。 - 統一されたエクスペリエンス:
システムを統合したポータルを活用することで、顧客と従業員の両方に統一された体験を提供できます。これにより、ワークフローの作成や洞察の引き出し、プロセスの合理化などが可能です。 - カスタマーオンボーディングの合理化:
ポータルは製品やサービスの成功を早めるために、顧客のオンボーディングプロセスを合理化する必要があります。これにより、顧客が製品やサービスをより早く活用し、他の人に勧める可能性が高まります。 - ナビゲーションの改善:
顧客は自分の疑問に対する答えが簡単に見つけられることを期待しています。セルフサービスソリューションは、使いやすいインターフェース、シンプルなナビゲーション、そして強力な検索機能を備えている必要があります。 - 最新の状態を保つ:
運用に必要なツールを正しく装備し、ポータルを常に最新の状態に保つことで、顧客だけでなくチームのエクスペリエンスも向上させることができます。
最後に
カスタマーポータルの活用はで、顧客のサポートだけでなく、一貫したエクスペリエンスの提供によって問題解決の効率を高めます。さらに、顧客対応チームにとっても効果的なツールとなり、顧客の要求に迅速に対応し、パーソナライズされたサービスを提供することができます。
顧客とのエンゲージメントを強化し、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供することは、ビジネスの成功につながります。企業が顧客満足度を向上させ、競争率を維持するためには、最新のカスタマーポータルの導入は必須と言えるでしょう。
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